女性のからだはとてもデリケート。月経が普段よりも遅れていたり、いつまでも終わらなかったり、下腹部に重い感じがするなど、「いつもとちょっと違うかな?」と思ったら、迷わずに婦人科を受診してみましょう。
受診しても「たいしたことじゃないですよ」と言われたら…とか、「このくらいどうっていうことないだろう」と思い込んだりしがちですが、医師に「普段の自分の状態」を知っておいてもらうことも、とても大切なことなのです。
なるべく気分にゆとりを持って、健康診断のような感覚で気軽に受診し、定期的に検診を受けておけば、病気の早期発見にも役立ちます。ほんとうに具合が悪くなって、病院を探す余裕もなく駆け込む、そんなことにならないよう、早め、早めの受診を心がけてください。
基礎体温、つけている?
忙しい朝、毎日同じ時間に基礎体温を測るのはちょっと面倒。でも、基礎体温表をつけていると、月経のリズムがつかめるのです。「なんだかやけにイライラする」と思ったら月経前、おりものが多めなのは排卵日が近いせい・・・。基礎体温表を見て体調の変化や不調の理由がわかれば、それだけで安心できることもきっとあるはず。
「続けるのが、なかなか大変で…」という方は、記憶式の電子体温計を使ってみては。グラフを作ってくれるタイプもあるので、とっても手軽です。
産婦人科を受診するときも、基礎体温表があれば、緊張しがちな初診でも普段の状態との違いが医師に伝わりやすくなりますよ。
産婦人科って、必ず内診するの?
産婦人科が敬遠される大きな理由は、内診。内診では、子宮や卵巣の位置や大きさ、圧痛がないか、癒着がないか、などを調べます。診察ではまず、医師と話しながら不調を伝える問診があります。不安な場合は、このときにはっきり「内診がこわいんですが」と申し出て、どうして必要なのか納得した上で内診を受けてください。
内診するときには、歯科の寝台のようなリクライニング式の内診台に、下着を脱いで座ります。深呼吸して大きく息を吐き、リラックス。緊張して力が入ってしまうと余計に痛みを感じてしまったり、うまく診察できないこともあります。
また、受診の際には肌のつや、唇や爪の色などからも健康状態を見ます。なるべくメイクは薄めで、着脱しやすい服装で受診するよう心がけましょう。タイトな服装よりは、ゆったりとしたフレアスカートの方がお勧めですが、内診台に座ると腰から下には布をかけますから、脱ぐことに抵抗がなければパンツスタイルでも OK。補正下着など着脱しにくいものは避けた方が無難です。
月経のこと
私の月経、正常かな?
月経のポイントは、周期・期間・量そして痛みです。一般的に、周期は28日前後、期間は3~7日、量は約180グラム。血液の状態は、鮮血ではなく赤黒い液体で、普通の血液と違って固まりません。
周期や期間については、1日や2日の変化はあまり気にすることはないと言われています。わかりにくいのは量。普通のナプキンで1時間もたない、昼間に夜用のナプキンを使っても漏れる、大きな血のかたまりが出る、そんな場合は過多月経の疑いがあります。また月経前・月経中の痛みは、仕事に支障を生じたり、不妊症と大きく関わっていることが多いともいわれています。こうした自覚症状がある場合は、必ず受診してください。
順調に月経がきていても、排卵していないこともあります。基礎体温表をつけてみて、低温期と高温期がはっきり分かれない、高温期が短いなど、「あれ?」「うーん」と思うときも、基礎体温表を医師に見せてください。
月経中の受診はOK?
あまり痛みがひどい時に、わざわざ受診する必要はありませんが、痛み止めが欲しい場合などは、月経中でも受診OKです。ガンなどの検査で受診する場合は、月経中だと状態がよくわからないことがあるので、避けてください。
元気な時に「いつも月経痛がひどくって…」と訴えても、なかなか痛みの度合いは伝わりにくいもの。痛みが和らいでから受診する場合には、「起きあがれない」「仕事を休んでしまう」「市販の鎮痛剤を飲んでも効かない」「吐き気を伴うほど痛い」など、どんな風に痛むのかを具体的に伝える工夫をしてみましょう。
月経が不規則だと妊娠できない?妊娠しにくい?
妊娠は、排卵があれば可能ですから、周期が不規則、月経痛がひどいなどの理由で妊娠できなくなることはありません。基礎体温表をつけてみて、排卵しているかどうかを確認し、わからない場合は、基礎体温表を持って受診を。
周期が不規則な場合は、排卵日のタイミングがつかみにくいため、妊娠しにくくなることはあるようです。でもこれは裏を返せば、いつ妊娠するかわからないということ。「月経不順で妊娠しにくいと思って、避妊しないでセックスをして妊娠した」という人が多いのも事実です。
月経不順の人だけではありませんが、根拠のない「妊娠しないだろう」という思いこみは、いちばん危険。妊娠を望まないなら、必ず避妊を。
月経痛で休むのはガマンがたりないの?
痛みというのは主観的なもの。昔は「痛みをこらえるのは女性のたしなみ」のように言われていましたが、今は月経の前に起こる頭痛や腰痛、イライラなどの症状を月経前症候群または月経前緊張症(PMS)、重度の月経痛は月経困難症として、治療の対象になっています。
月経痛にもさまざまな原因が隠されていることがあります。「月経がくるとつらい」と思うことがストレスになり、月経中余計につらくなってしまうケースも。毎月、涙をこらえながらガマンするより、医師に相談してより快適に生活する方法を見つけましょう。
避妊のこと
ピルで月経が軽くなる?
月経の周期が安定する、経血の量が減る、月経期間が短くなる、月経痛が軽くなる、月経前も過ごしやすくなる、などプラスの効果が出る人が多いようです。月経の周期が安定することで、安心して旅行の計画などを立てられるというのも嬉しいもの。
ただし、月経痛の原因がどこにあるのか、ピルで痛みが軽減できるのか、自己診断は禁物。月経痛を軽くしたいなら、まず、その原因を調べることが先決です。
また、吐き気や頭痛を伴うなど、ピルが合わない人がいるのも事実。他の薬を併用している、喫煙習慣があるなど、使用を避けた方がいい場合もあります。服用の前に、不安なことや、わからないことは医師に質問し、服用後、吐き気や頭痛などがあった場合は、早めに医師に相談しましょう。
ピルはどこで買える?
ピルは市販されていないので、当院にて医師が処方します。受診の際に、なぜピルを飲もうと思うのか(避妊・月経痛対策など)、どのくらいの期間飲もうと思っているか、などを考えておき、医師とよく相談してみましょう。
受診の時に、最終月経の開始日と期間、だいたいの月経周期、月経量、妊娠・出産の経験、喫煙などの問診と血圧・体重測定を行います。ピルに関する質問があれば、忘れないようにメモを持っていき、医師に聞いておきましょう。
確実な避妊方法は?
男性のパイプカット、女性の卵管結紮(らんかんけっさつ)でも、0.1~0.5%の割合で失敗例があります。ピルは、うっかり飲み忘れてしまうこともあるようで、失敗率が0.1~6%。女性の子宮内に入れて受精卵の着床を防ぐIUDは、定期検診を受ける必要はあるものの、一度入れれば数年間はそのままで良い、という手軽さがあり、装着感もなく快適とされていますが、失敗率は1.5~2%程度。男性用コンドームは装着中に破れる、きちんと装着できないなどで、失敗率は3~14%と高くなっています。
卵巣を摘出しない限り、100%確実な避妊方法はありません。いくつかの避妊法を組み合わせてダブル・セイフティを心がけた方が安心です。避妊は、パートナーの協力が必要。日頃から、避妊について普通に話し合える関係をつくっておきたいものですね。
彼がコンドームをつけてくれない
コンドームだけの避妊は確実ではありません。正しい装着方法を知らない男性は意外と多いもの。薄いゴムは取り扱い方で穴も開きやすいもの。つけていれば安心、というわけでもありません。避妊の目的でコンドームを使う場合は、できるだけ他の避妊方法を併用しましょう。
一方、感染症の予防には、コンドームの装着がとても効果的。「お互いに病気をうつしたらイヤな思いをするから」「つけた方が安心して楽しめるから」と言ってみてはどうでしょう。
最近はコンドームの専門店もありまずが、インターネットでもさまざまな種類を買うことができます。ネットショップの購入方法をよく見てみると、発送品目に「コンドーム」とは表記しない場合がほとんど。「こんな面白いのがあったよ」と女性がつけてあげる、という方法で試してみるのもいいのではないでしょうか。